世紀ジム株式会社

自身の資格を生かし、業務を拡大。“世紀”をまたぐ3代目に!

創業以来50余年の歴史をもつ「世紀ジム株式会社」。
この3代目となるべく奮闘中の古川拓人さん。“世紀”を超える創業100年の企業を目指している。

世紀ジム株式会社 古川 拓人氏

仕事の幅を広げるために整備士3級、2級を受験

 古川拓人さんが働くのは大阪府茨木市にある「世紀ジム株式会社」。名前だけを聞くと、ボクシングジムやスポーツジムを想像してしまうが、ここは事務機器の販売などを行うオフィスプランニングの会社だ。同社は創立から53年を迎えた老舗だが、古川さんはその3代目として事業を受け継ぐべく、日々奮闘中だ。

社内は和気あいあいとした雰囲気。

 「これまでは事務機器や事務用品の販売をメインにしていましたが、これからの時代はそれだけではだめ。簡単に価格を比較できる時代です。同じモノならお客様は安い方を選んで当たり前ですし、単なる価格競争では利益も薄くなってしまいます。幅を広げていかないと生き残るのは難しいですね」

 インターネットの普及などにより、あらゆる業界でその業態は大きく変化しているが、古川さんの会社もその例外ではないようだ。そこで仕事の幅を広げる目的も含め、古川さんはまずパソコン整備士検定3級を取得。翌年には2級にも合格した。

〝パソコンに詳しい〟ってどの程度のレベル?

 「客先は地元の中小企業などが多いのですが、いま、取り扱いの主力商品となっているのはオフィス向けの複合機です。その設定にもネットワークの知識が必要となることもあって、パソコン整備士の資格に興味をもつようになりました。複合機の導入の際、パソコン関連の悩みをワンストップで解決したいというお客様も多いですからね。

自身のスキルアップのため、個人情報保護士やマイナンバー実務検定などの資格も取得している。

 もともとパソコンを触るのは好きだったんですが、仕事で必要とされるスキルをしっかり身につけたいと思うようになって。よく、あの人は〝パソコンに詳しい〟なんて話を聞きますが、詳しいと言ってもどの程度のスキルがあるのか、その詳しさが計れないことが多い。それでは実態が見えないじゃないですか。でも資格があれば、はっきりしますからね。受験当時はまだ20代で年齢的に若かかったこともあり、資格を身に着けて理論武装することで客先に信用してもらいたい、という気持ちもありました」

 こう話す古川さんは、やや関西弁のイントネーションがありながらも優しい口調。爽やかな見た目とも相まって、まさに営業職にぴったりのイメージだ。

 ではパソコン関連の資格が多種ある中で、なぜ整備士を選んだのだろう。

 「〝パソコン整備士〟というダイレクトなネーミングも、この資格にひかれた理由の一つ。お客様にどんな資格をもっているのか伝わりやすいのがいいなと思いました。ベンダーに関係なく、スタンダードな知識を得られるのもいいですね。今後、新たな人材を採用したら人材育成の一つとして整備士の資格をとってもらうことも検討しています」

地元の企業とともに発展していきたい!

次世代の「世紀ジム」は俺に任せて!

 古川さんは資格取得後、Macを含むパソコンやiPhoneの修理、パーツ・液晶交換などを営業項目に加え、資格を仕事に積極的に生かしている。取材中も何件かスマホ修理の問い合わせが入っていた。

 「飛び込みの依頼も結構多いんですよ。iPhoneの修理に来られたお客様がほかの仕事もくださったりと、これまでと違った流れも生まれています。従来はパソコンの設定なども外注していたんですが、それもいまは自分でやっています。

 受験のために基礎から改めて勉強したことで、自信と知識が確立できたのもよかったです。なんとなくわかっている、という曖昧な知識だったものが、お客様に対して具体的な言葉で説明できるようになったのは仕事上メリットがあったと思います」

 昨年は当協会主催のネットワークセミナー(東京開催)にも参加した。

 「セミナーや講座は、自分にぴったりのレベルのものを探すのが難しいのですが、行ってよかったですね。参考になりました。最近はセキュリティ関連の問い合わせが増えてきているので、そうした講座にはまた参加したいですね。当社に多いのはUTM(統合脅威管理)などに関する問い合わせ。とは言っても、セキュリティソフトすら入れていない会社もまだまだたくさんあるのが事実。それがどれくらい危険で、加害者になることもあり得ることを伝えるのも仕事だと思っています。そうした情報の提供なども含めて、地元の企業さんのレベルアップのお手伝いをさせていただければと考えています」

〝世紀をまたぐ〟ための展望は?

 最後に、創業100年を超えた〝世紀をまたぐ〟企業になるための展望を伺った。

 「10年、50年先を考えてみるんですが、予測するのって難しいですね。弊社は大手メーカーさんと競合になることもありますが、大手の強みは安心感や対応力。それをしっかり身に付けた上で、私たちならではのキメの細かいサービスや小回りがきく部分をアピールできればと思っています。自分自身のネットワークも広げながら、地元とともに成長できればと思います!」

世紀ジム株式会社

OA関連機器や事務用品などの販売のほか、ホームページ制作からコピーサービス、製本まで幅広く取り扱い、オフィスをトータルでサポート。近年、パソコンやiPhoneの修理やインターネットセキュリティ対策のなどの業務もスタートし、さらに業務を拡張している。

今は、2代目のお父様と二人三脚で会社を支える。「世代は違いますが、一緒になってがんばります!」
本社 大阪府茨木市東中条町14ー32
TEL 072-646-7370
URL http://seikijim.com

2017年冬取材