富士ゼロックス北陸 | ソリューション営業に生かす、仮想化基礎検定 “複合機単体保守”イメージからの変換

 

ソリューション営業に生かす、仮想化基礎検定 “複合機単体保守”イメージからの変換

富士ゼロックス北陸株式会社

北陸ならではのエリア特性を営業の強みとして生かして

北陸新幹線開業にあわせ、駅前は一新した。 写真提供:金沢市
「複合機単体の保守はすでに“文化”の域。今後はいかに富士ゼロックス北陸を、企業パートナーとして認知していただくかがカギとなる」

石川県金沢市。北陸新幹線が開業したばかりのいま、ここは日本で最も熱い都市と言えるかも知れない。新幹線開業に合わせ、駅前は一新。古都のイメージを踏襲しつつ、最新都市の顔も描き出している。

今回はここ、金沢に本社を置く富士ゼロックス北陸株式会社を訪ねた。その訳は同社がいま、「仮想化基礎検定試験」の資格取得に積極的だからだ。この1年で受験された方全員が、見事合格されている。受験者のほとんどは、ソリューション推進を担当する営業スタッフだ。
富士ゼロックスと聞いてまず思い浮かぶのは、複合機やレーザープリンターの製造販売とそのメンテナンスだが、近年ではこれらのコア技術を生かした総合文書管理ソリューションコンサルティングなどを提供、ICTの進化に伴ったオフィス・インフラ環境整備に対応している。こうした背景が「仮想化基礎検定」を同社の推奨資格とする動きにつながった。

だがリージョン(地域)制を導入している富士ゼロックスでは、全国主要都市にある統括会社にSEなどのソリューションサポート部隊を集中させ、地域販売会社への広域支援を行うことを基本としている。しかし北陸の場合、エリアの統括会社が拠点を置く名古屋からのアクセスに3〜4時間が必要となる上、顧客からは迅速な対応への要望が高く、必然的に担当するスタッフにはICT全般の高い知識が求められるようになった。また地域的に、リモートでなくフェイス トゥ フェイスでの会話を要求されることも多いと言い、北陸を拠点とする同社ならではの展開が求められた。

複合機で得た信頼を、企業パートナーとしての信頼に

「私たちが取引する多くの中小企業様では、ほとんどが複合機をネットワーク上のデバイスとして使われています。そのため、お客様のお困り事をワンストップで解決するには、必然的にネットワークの知識が必要となります。この状況をうまく生かすことこそ、複合機メーカーとして築き上げてきた信頼を、総合的な企業パートナーとしての信頼に変換させることに繋がるはずです」 こう話すのは、ソリューションサービス統括部長の脇坂実氏だ。同社は現在、石川・富山両県を担当しているが、エリア内における複合機の総出荷台数は約30%以上のシェア率を誇る。それだけに、そこを糸口にビジネスの間口を広ることが今後の展開において肝要であることは間違いない。

  

受験対策として、朝就業前に、高地氏が主宰した自主勉強会も開催された。勉強会では、セールストークになるキーワードなども学習。「テキ
ストにわかりやすく書いてあるから、客先でもわかりやすく説明できる」

具体的な知識の習得を企業価値アップにつなげて

ところで、同社がこの「仮想化基礎検定試験」を受験するに至った経緯や、その成果はどうなのだろう。「きっかけは、SEから今後、仮想化ソリューションを展開したいという希望が出たことでした。その流れで、私たちのような営業をサポートする立場にも深い知識が必要ということになり、現在に至っています」こう話すのは、ソリューション推進課・課長の迎崇氏だ。「実際のテキストを見たとき、ベンダー寄りではない客観的な視点が良いと感じました。特に基礎知識がないスタッフの勉強には効果が高いと思います」

ソリューション推進課・マネージャーの高地克之氏は「ベンダーの技術資料があれば、客先でそれなりの話はできてしまう。しかし、このテキストには仕組みや原理までがきっちり書いてあり、それが一番の魅力でした。システム営業のスタッフが、顧客先で一般論ではなく具体論としてiSCSIや高額なCPUの必要性などをしっかり説明できるようになったことで、弊社への安心感や信頼感にもつながりました」と話す。

仮想化基礎検定の受験は、未知の世界への挑戦だったという数家氏。「ざっと1回読み、2回目はしっかりと調べながら、3回目からはとにかく記述しました」

北陸新幹線開通でより強固な体制づくりが必須に

ソリューション推進部のプロモーション課課長・数家早苗氏は、自らが営業活動に出向くことはないが、顧客に向けたセミナーの企画や社内教育の担当者としていち早く受験を決めた。「仮想化は未知の部分も多くありましたが、今回の勉強で得た知識はお客様への情報発信にもつながり、間違いなく仕事の幅を広げました」と話す。

複合機の販売というスタート地点からソリューション提案を展開する同社にとって、ベンダーとは違うアプローチ方法は必然的だとも言える。脇坂氏は、こう言う。「今後はシステム営業やSEだけでなく、現場で対応するカスタマーエンジニアにも、ネットワークデザインができるスタッフを増員することが必要だと感じています。

北陸新幹線の開業で、関東圏からは2時間から2時間半でのアクセスが可能となります。これに伴った競合企業の増加も予想され、いま固めておかなければならないことは多いです。有資格者を増やすことは、その一つだと考えます」。

北陸というエリア特性をうまく生かし、独自の成長を遂げてきた富士ゼロックス北陸。今後の展開にも期待したい。

富士ゼロックスが提供するソフトウェア「Apeos PEMaster」は、ドキュメント書類の登録状況で各プロセスの進捗などを一元化してモニタリングでき、業務効率化とリスク回避の両立を実現できるのが特長だ。目的、用途に応じて5つのソフトウェアと組み合わせることもできる。これと併せたサーバの仮想化提案などで、リスク削減やIT運用コスト抑制などに繋げ、より同社の魅力強化を目指す。

■ 企業DATA ■
富士ゼロックス北陸株式会社
金沢市中橋町11-18
http://www.fujixerox.co.jp/hrx/
富士ゼロックス株式会社のグループ販売会社。担当エリアは石川・富山の両県。256人(2015年3月現在)の社員の平均年齢は41. 9歳と若く、取締役社長を除いた全社員がプロパー採用。その強い愛社精神は、営業姿勢などにも現れ、同社の強みの一つにもなっている。

特定非営利活動法人 IT整備士協会